
夜は、ささめ(公式X)へ。
飲めなくなってしまう前に、何とかして友人を連れて行きたかったお店の中の一軒。
行ったことも無い店に「いい店だから行ってみてよ」だと中々行かれないけど。
1度行って気に入れば行きやすいだろうからと、いわば引き継ぎ、日本語で言うところの継承。

店内はカウンター8席にテーブル1卓。
空いていれば予約していなくても入れるけど、事前に予約が安心。
だからといって何ヶ月も前から予約するお店ではありませんから。
この日も満席、何組かの後客は入店を断られていました。

メニューはほぼほぼ日替わり。
見渡せないほど数があるわけでは無く、個人店で店主さんが仕込める量なので見通しがよく。
ちょっと思いを巡らせれば、セフルコース料理も組み立てられます。
とはいえ、メニュー外もちょこちょことあって、実は楽しみ。

日本酒は一部を除いて5勺(90ml)550円均一。
ちょこちょこ売り切れていますね。
「ふらわさんのお任せで」と甘えられたので、5杯飲むと決めて、最初の二杯と最後の一杯を決める。
間の二杯は周りを見渡して選ぶことにします。

それでは生ビール625円で乾杯。
今夜は蒲田で2人お疲れ様会、おっ久し振りぃ。
2人で飲む時は相手の飲みペースに合わせるか、全く無視するか、なんだけど。
今夜は数歩先を歩いて道案内するかのように、ちょっとだけ先に飲むことにします。

突き出しは小鉢三点盛り。
煮物と海老の唐揚げと烏賊のおろし。
ひとつひとつが丁寧に料理されていることが伝わってくる味わい、お酒の進み方はほどほど。

自家製いくら605円
1人前をお願いすると、「二つに分けておきました」と用意して下さいます。
今夜は女将さんがお休みでワンオペなんだから、「スミマセン、手が足りなくて」でいいのに。
いつも通りにやってしまうんだろうな。

1杯目は決めていた銘柄。
愛知の蔵元である丸石醸造が醸す「純米二兎(じゅんまいにと)山田錦65」 うすにごり生原酒 KEG DRAFT R5BY。
このKFG DRAFTって、日本酒を瓶詰めせずに10Lのタンクに詰めて、しぼりたてのフレッシュ感を楽しめます。
蔵元に行かなければ、蔵元に行っても飲めなかった日本酒の味わい。
1杯目から最高に旨い。

自動的に和らぎ水が用意されます。
和らぎ水がなんなのかとか、そんな説明が必要な人とこの店に来るつもりはさらさらなくて。
今夜は私が全てサーブ、いつも良くしてくれる友人のために。

なめろう660円
色々な魚でなめろうを食べていますが、今夜は秋刀魚。
メニューに魚の種類が書かれていないのがいいですね。

薬味の野菜や味噌がたっぷりと使われていて、こんなに美味しいなめろうを食べたのは初めて。
生酒がよく合っていることも、味わいを持ち上げてくれます。
2人で1匹分だと少ない気もするけど、足りないくらいで丁度いいと思うな。

2杯目は今夜のメニューで唯一、飲んだことの無い銘柄。
山形の蔵元である新藤酒造店が醸す「雅山流 葉月(がさんりゅう はづき)」純米吟醸 無濾過生原酒 R5BY。
口当たりが柔らかいのに飲み口しっかり、な美味しさ。

京芋揚げ出し605円
お会計の伝票をちゃんと見ていないけど、おそらくこの量で1人前。
最小限の味付けが京芋と茄子の美味しさをそっと引き出しています。

隣のお客さんが飲んでいたので、それではと。
秋田の蔵元である天寿酒造が醸す「鳥海山(ちょうかいざん)吟味良香」純米吟醸酒 生酒 R5BY。
鳥海山は出羽富士と呼ばれ、山形県と秋田県の県境、日本海に面しています。
行ったことは無いけれど、どんな山なんだろうと思い浮かべながら飲むのも一興。

生ししゃも焼き770円
「予約して頂いたので、食べ手頂きたく、お取り置きしておきました」と勧められたら、そりゃ、頼むでしょ。
身を味わうならオスと言われていますが、確かに身が美味しい。
付け合わせのかぼちゃも良い感じです。

飲みながら、食べながら、思案しつつお願いした4杯目。
岩手の蔵元である赤武酒造が醸す「AKABU F NEWBORN」吟醸酒 生酒 R5BY。
銘柄の「F」は「For You」から、飲む度に美味しくなる赤武。

朝から仕込んだと聞いては食べずにいられないおでん、盛り合せで。
種物は大根、ちくわぶ、厚揚げ、コンニャク、ちくわ、タコ。
お出汁には柚子が利いていて、まずまずお出汁を飲んでしまう私。
おでんを食べると、どのネタが好きとかどうとか、お喋りも盛り上がりますね。

予め最後に飲もうと決めていた一杯。
山口の蔵元である八百新酒造が醸す「雁木 ノ壱(がんぎ のいち)」純米酒 無濾過生原酒 R5BY。
「最後にもう一杯、雁木を」のコンセプトを個人的にずっと守っています。
その話しを店主さんにすると「ええ存じています。ですので、ああ、お帰りになるのかと」

海鮮丼
そこはかとなくごはんが食べたくなり、何ができますかと訊くと、
「お刺身を食べられていないので、海鮮丼はいかがですか」と勧められます。
ごはんは少なめに盛り付けられ、ブリとマグロ、ちょこんとイクラ。
美味しい日本酒、美味しい料理、かけがえのない空気をご馳走様でした。

帰路の電車は途中まで一緒。
「その言葉、一生忘れないよ」とは、とっさとはいえよく出たな。