/新宿 鮨 よこ田にて鮨と天冨良【特上】会席/
色々な飲食店で食べ歩いていると、何度も伺いたいと思っていても、思っているだけになりがち(私だけ?
伺いたいという思いの強さに加えて、伺える機会に恵まれることも大切なのではないだろうか。
夜は、新宿 鮨 よこ田へ。
去年の8月に伺った時にとても印象が良く、いつか再訪したいと機を狙っていて。
季節が秋から冬に向かう頃に予約を入れて、晴れて再訪となります。
お願いしたコースは、今回も鮨と天冨良【特上】会席17,800円。
飲み物代は、別料金になります。
一年ぶりの再訪、前回も良かったけど、今回は前回以上に良かった。
席に着いて満席のカウンター、それではビールで乾杯。
今夜は新宿で2人お疲れ様会。
一息入れて辺りを見渡すと、カウンター席だけではなく個室も満席の様子。
【八寸】
炙り〆サバのジュレ掛け、クリームチーズの酒粕漬け、金時草とちりめんじゃこ、白バイ貝、真蛸の柔らか煮。
一品々々を丁寧に仕込まれ、そこかしこから季節を感じられます。
【小丼】
握りに使うシャリの味見としての、一品。
なんだけど、大振りの鮑とたっぷりの肝で、楽しみます。
山形の蔵元である和田酒造が醸す「あら玉 超辛口」純米原酒 R5BY。
ビールに続けて日本酒、以降、日本酒だけをいただきます。
前回と同じ様に「メニュー外に何かありますか」と訊くつもりが、「隠し酒、ご用意しています」と先んじられ。
一年前の客を覚えているのは、当たり前のことなんだな。
【一の鮨】
こちらでは、握り、天麩羅、握りと提供され、所々に一品料理が挟まれます。
カウンター台にプレートが置かれ、ガリが盛られたら、握りはもうすぐ。
のどぐろ
濃厚な味わいののどぐろ、シャリとの相性がとても良くて、最初の握りに相応しい一貫。
本マグロ
トロリとトロける手前の中トロ、口に含んだ刹那、どこかにいってしまいます。
中トロなのに大トロ並みのトロけ具合、美味しいですな。
赤貝
食材の中で1番好きな赤貝、旬に頂ける幸せ。
先ずは奥深い橙色を楽しみ、次に引き込まれる香りを楽しみ、最後に舌で爽やかさと共に美味しさを楽しむ。
伊勢海老
造りや焼きで楽しむことの多い伊勢海老、今夜は握りで。
のどぐろに負けない濃厚な味わい、たまらないな。
鯵
最後はさっぱりと青魚、(当たり前だけど)ちゃんと流れを考えてあります。
青ネギを乗せるのをあちこちで見かけるけど、流行っているのだろうか、
静岡の蔵元である土井酒造場が醸す「開運 涼々(かいうん りょうりょう)」純米酒 R5BY。
続けて隠し酒、日本酒好きなら誰もが知っている開運。
特別感が無くて、どちらかと言うと特別感を抑え込んでいる味わい。
日本酒、かくあるべき。
【椀物】
お出汁の美味しさが椀物と美味しさを形作ってはいるけれど。
軽く焼きを入れたさわら、季節物のしめじ。
冷たい握りから、温かい天ぷらへと繋ぐ。
三重の蔵元である清水清三郎商店が醸す「作 インプレッション N」純米大吟醸酒 原酒 無濾過直汲 R5BY。
「N」は中取り(雅乃智)、日本酒で一番美味しいとされています。
前回飲んだ時にも感じましたが、そこはかとなく作推しのラインナップ。
料理の前に出る日本酒も、しっかりと飲んでおきたい。
【天富良】
車海老
海老と言えば天ぷら、天ぷらといえば海老。
甘い身が更に甘くなる蒸し料理としての天ぷら。
そこはそれ、コース料理の流れを乱さない甘さが素晴らしい。
万願寺とうがらし
ほんのりとした甘さの万願寺とうがらし、天ぷらとして揚げるとしっかりした甘みを感じられます。
調味料は使わずに、そのまま楽しみます。
太刀魚
厚身の切り身からふんわりとした食感がが楽しめ、ほんのりとした美味しさが太刀魚らしさを楽しめます。
刺身が美味しいけど、天ぷらも美味しいね。
しいたけ
どんこ、かな。
半分を塩で、残りをカレー塩で楽しみます。
帆立
大抵の食材は天ぷらにすると美味しさが増しますが、帆立は特に増します。
揚げ加減の味見はできないと思うけど、この絶妙な揚げ加減はどうやっているのだろう。
【強肴】
濃いめのお出汁に漬けた、ニシンとナスの天ぷら。
揚げたてを漬けているので、食べるごとに味わいが変わっていく楽しさよ。
【蒸し物】
スッポンの茶碗蒸し、しばし言葉を忘れる。
先の椀物が冷たい握りから、温かい天ぷらへの繋ぎだったように。
この茶碗蒸しが温かい天ぷらから、冷たい握りへの橋渡し。
「お客様、飲み比べはいかがですか」と勧められ、断れるほど人間ができていない。
三重の蔵元である清水清三郎商店が醸す「作 愛山」、「作 ひやおろし」
どちらの造りも味わってみたいと思っていましたが、機会に恵まれず。
しかしして、強く願えば夢が叶う、でしょうか。
【二の鮨】
金目鯛
第二幕はキンメから。
軽く炙って香りを立たせ、魚本来の美味しさをそのままシャリに合わせています。
小肌
頂ける期間が短い小肌、今年も頂けて嬉しい。
刷毛で塗る醤油が多めですが、醤油の辛さや甘さが嫌味にならない味わい、
カワハギ
定番の肝乗せ、もう肝なしにはカワハギは食べられませんって。
毛蟹
蟹には味噌乗せ、軍艦巻きなのに一品料理の様な満足感。
【巻物】
牛肉巻きに雲丹乗せ。
巻いてある牛肉は佐賀牛、この軍艦巻きのためだけに牛肉を仕入れ、仕込んでいるんだ。
【止め椀】
三杯目のお椀は、伊勢海老のお味噌汁。
魚のあら汁も好きですが、海老の味噌汁も大好き。
「雲丹、食べませんか」と勧められ、値段も聞かずに「お願いします」の私。
かつて、雲丹は軍艦巻きでしか食べたことが無かった、しかも回っている軍艦巻き。
パリッと風味がしっかりした海苔で巻かれた雲丹の、なんと美味しいことよ。
続いて出して下さった、黒龍の貴醸酒。
貴醸酒というのは、お酒を仕込む最終段階の加水を、水ではなく日本酒を加えて作ります。
日本酒ではあるけれど、米、米麹、水、アルコール以外を添加してしているので、清酒ではありません。
お酒にお酒を加えるのでかなり甘くなりますが、スッキリした甘さが黒龍らしさ。
【甘味】
ジュレ状のラフランス。
甘味を頂いて、あとは緑茶を飲んでお会計、と思っていたら。
「お腹に余裕はありますか」と訊かれ、「今、余裕ができました」と答えます。
「赤貝が大好きと聞こえてきたので」と、赤貝を握って下さいます。
コースで出された赤貝と、大きさや色艶が違う気がするし、なんといってもこちらの方が美味しい。
ひもきゅうり。
見たことも聞いたことも無いので食べたことも無い、赤貝の貝ヒモとキュウリのかっぱ巻き。
ほっぺたを落としてしまうほどの美味しさに、また来年食べに来たいなと、強く思う。
【お薄】
最後は、お点前にてあがり。
美味しいお鮨、美味しい日本酒をご馳走様でした。