
月に一度はお鮨を食べたいなぁ。
もちろんお金は掛かるし、それなりの店ならかなり前から予約しておかないとならないけど。

お誘いいただき、今夜は鵠沼 鮨 近藤。
かつて一度だけ、自身で予約したことがありますが。
最近になって予約困難店に昇格してしまいまして(数ヶ月先なら取れるけど)。
今ではすっかり他力本願、もつべき友はお鮨屋の予約が取れる人。

口開けはビール、北海道産の食材が多いので、サッポロ クラシック。
ラガーやドライでは重すぎる心持ちの今夜、繊細な鮨の味わいを引き立てる喉越しのビールが飲みたくて。
今夜は三人お疲れ様会、くう、一口目から美味しい。

煮凝り
その吸い込まれるような透明感の前に、何も訊けずにいただいてしまった美味しさ。
目の前のまな板に、ぷるんとした煮凝りをパックから出して切り分けるのに見入っていたので、なおさら。
これは酒を飲めと言うサインでしょう。

東京の蔵元である小澤酒造が醸す「澤ノ井 吟醸新しぼり(さわのい にいしぼり)」吟醸酒 生酒 R4BY。
今夜の一杯目は東京のお酒から。
東京都は23区内の超過密地域だけでは無いので、日本酒の蔵元は14(内3蔵は休業中)。
その中でも最北の蔵元、なんだかんだで毎年飲んでますな。

北海道の平目、宮城の赤貝、佐島の蛸。
お造り三点盛り、好みで塩、山葵、醤油、山葵醤油で頂きます。
どの刺身も美味しく、特に赤貝はヒモが添えられていて、これ以上は考えつかない味わい。

宮城の蔵元である一ノ蔵が醸す「一ノ蔵(いちのくら)」純米大吟醸酒 山廃 蔵の華 R4BY。
メニューに書かれていない日本酒は3本あり、二本目。
最近はは四合瓶で頂くことが多い日本酒、一升瓶は迫力がありますな。
さらに半分くらい飲まれていると、味わいに変化があります。

北海道の毛蟹
甲羅や脚から身をほじるのも楽しい蟹ですが、丁寧に身をほぐしてあり、
ジュレ状のポン酢を少しずつ溶かしながらいただきます。
蟹はどんな食べ方をしても美味しい。

群馬の蔵元である龍神酒造が醸す「尾瀬の雪どけ(おぜのゆきどけ)」純米酒 大辛口 R4BY。
3人で伺ったので各自が好みの銘柄を伝え、3人で分け合う飲み方。

3人で1合ですと一口か二口で飲み終わってしまい、二杯目は燗で。
2杯目から燗を飲むのはとても珍しく、冷たい料理との相性が楽しみです。

河豚の西京焼き、さつまいもの甘煮、菜の花のおひたし
河豚の身を切り分けていると思ったら、西京焼きに仕上げていて。
跳ね返す歯応えに淡白な味わいがとても心好い。
菜の花は大きめに切り分けられ、さつま芋の甘さも堪りません。

白子
何の説明も要らない、命の尊さと儚さを頂ける美味しさ。
生でも美味しいし、焼いても煮ても美味しい白子。

福島の蔵元である大七酒造が醸す「大七(だいしち)」純米酒 生酛 R4BY。
幹事さんが大好きな銘柄、こちらは生酛造り。
一口の半分くらいの大きさのお猪口で少しずつ味わうのが、これほどまでに楽しいとは。
お酒の美味しさはお米や造りで決まるわけではなく、誰と飲むかで決まる。

手巻きウニ
軍艦巻きは滅多に見られなくなり、代わって台頭してきた手巻き。
ウニで無くても手巻きできるけど、ウニの手巻きは特別に美味しい。
海苔の風味とウニの風味から、特別の相性を感じます。

高知の蔵元である高木酒造が醸す「豊能梅(とよのうめ)」純米吟醸酒 生酒 吟の夢 R4BY。
日本酒メニューの中で、唯一飲んだことのない銘柄。
吟の夢は高知オリジナルの酒米、県産米があると水や酵母を揃えて「オール高知」の味わいが作れます。
魚の切り身に合う味わいに感じ、続く鮨に合うような気がします。

赤身
大将の体躯からは全く想像できない、ネタもシャリも小ぶりの鮨。
口に含むと鮨の一体感が素晴らしく、こんなに美味しければ何貫でもいただきたい。

トロ
中トロとも大トロとも説明されなかったので、トロ。
育ち盛りの若者には物足りないだろうけど、我々には程よい脂こそ最高の旨味。

のどぐろ
皮目を炙り、塩と酢橘で味付けした鮨。
鮪の脂を断ち切る味わいと思いきや、次の鮨に続ける美味しい味わい。

墨烏賊
つるんとした舌触りに、スッと入る食感がイカの美味しさ(個人差があります)。
回転寿司では比較的低価格帯に泳いでいますが、カウンター鮨屋では他のネタに引けを取らない美味しさ。

福井の蔵元である黒龍酒造が醸す「黒龍 垂れ口(こくりゅう たれくち)」純米吟醸酒 生酒 R4BY。
メニューを見たら圧倒的に黒龍推し、なんなら仁左衛門、石田屋もあるし(高いけど)。

あん肝
血管などを綺麗に外し、丁寧に裏漉ししたあん肝が掛けてあります。
先の烏賊で滑らかさに驚いただけで無く、あん肝でも驚くとは。

クルマエビ
鮪と並んでお鮨の両花形の海老、食べやすい程々の大きさが海老の美味しさを最大限に発揮します。
ほんのりした甘みと、ほんのりした温かさが、なんとも言えない美味しさ。

東京湾の鯵
青魚の代表として鯵、東京湾で水揚げされたそうです。
爽やかさを感じる凛とした趣、ちょこんと乗せたネギもまた良。

あおさの味噌汁
お椀を手に持つと、あおさより味噌より、魚介の風味を強く感じます。
ここまでに使われた蟹や海老などの殻をじっくりと煮出してあり、毛蟹と車海老がもう一度楽しめます。

帆立
半切りした帆立を握っただけのシンプルな鮨、いや、乗せただけなのか。
最小限の醤油が帆立とシャリを結びつけ、軍艦巻きで無くても美味しいことを教えてくれる。

タラコ
焼海苔で挟んだ北海道産(?)のタラコは、大粒で美味しい。

穴子
江戸前寿司と名乗るなら(名乗ってないけど)、最後は穴子。
キリでは無く塩での楽しみ方もあるけど、こちらではキリのみかな。
淡白な味わいが、最後の一貫にふさわしい。

巻物(干瓢巻)
お弁当用に巻いていたので、一本追加で巻いてもらいました。
鮪を巻くと鉄火巻き、胡瓜を巻くと河童巻き、干瓢を巻くと海苔巻き、だそうだ。

お茶が出てきたところでお会計。
美味しい料理、美味しいお鮨、美味しい日本酒をご馳走様でした。
> 血管などを綺麗に外し、丁寧に裏漉ししたあん肝が掛けてあります。
その下にある白身魚はなんですか?
忘れちゃいました、スミマセン。